Doctors Journal 18号
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12DoctorsJournal私もこんな人たちに医師となったら在宅医療に取り組んでほしいと思いますね。臥床している患者さんや車いすの患者さんは、見下ろされて話されるのは苦痛で良い印象になりません。目線は必ず患者さんの高さに合わせることなど、細かく注意をすることもあります。時には同意を頂いた上で、患者さんを処置するところを見てもらうこともあります。実際の医療現場を経験することで多くのことを学んでもらえたら嬉しいですね。藤田 医師体験を受けてきた生徒に聞くと、全員が貴重な体験をしたと喜んでいます。まさに今のお話ですが、ある生徒が、「最初は気難しそうな患者さんに目線を合わして話をしたら表情が変わり非常に和んでもらえました。」といっていました。患者さんから「しっかり勉強してね。」と励まされた生徒もいました。長尾先生が自然体で看護師や介護スタッフに対して感謝をされている姿に感銘を受けた生徒もいました。生徒たちがこのような貴重な経験をさせて頂けるのも、ベースに患者さんと長尾先生の信頼関係があるからだと思います。長尾 生徒さんたちが帰る時には、患者さんが残念がり見送りまでしている姿を見て、私も嬉しかったです。この医師体験は非常に有意義だと感じました。医師体験の終了時に「皆さんが医学部に受かって医学生になったら、この方に報告に来てくださいね。」と伝えました。藤田 ありがとうございます。大変嬉しいお話です。長尾先生と患者さんからそういってもらえることは、生徒たちにはとても大きなモチベーションとなっています。予備校ですから受験のための学科指導は当たり前ですが、大切なのは医学部に入ってからで、私たちは医師としてふさわしい人材を輩出することを基本的な考えとしています。ですから生徒の人間的成長のために医師体験を行っています。長尾 私は、これから医学部をめざす若い人たちが研修医となった時に、一緒に働けたらと常々願っています。そうなったら本当に嬉しいですね。藤田 親子面談で感じるのですが、今の親の世代の医師の多くは、子供には専門医を目指すように指導しているようです。専門医が王道という考え方が強いようです。勿論、専門医療は大切です。それでも将来的には、在宅医療のニーズはますます高まってゆきます。実際に医師体験で、在宅医療の重要性を知ったという生徒も多くいます。ですから若いうちに在宅医療を経験することはとても意味のあることだと思っています。医師になった塾生の中から、若いうちから在宅医療に進む人や、専門医としていろいろな経験を積んだ後に将来的に在宅医療に進む医師が増えてもらえれば嬉しいですね。在宅医療に携わる仲間を一人でも多く募っていきたい。藤田 最後に長尾先生の今後のビジョンをお聞かせください。長尾 在宅医療をもっともっと日本全体に広げていきたいと願っています。少しでもそのお役に立ちたい。戦後の日本を作り上げてきた功労者の方々が、今高齢者となっています。この方々が安心して最後まで過ごせるような世の中にしていきたい。そのために医療の果たす役割を高めていきたい。一人でも多く在宅医療に携わる仲間を募って効率化を図り、地域の特性を活かした在宅医療を推進していきたい。そんな思いを持っています。藤田 本日はありがとうございました。私どもの生徒の多くが長尾先生から多大な啓発を受けていまして、医師になったら長尾先生の元で働きたいという生徒もおります。私も、一人でも多く長尾先生のような思いを持った若い在宅医療のドクターが増えることを切望しております。これからも、医師を目指す若い人たちの指標となってご活躍ください。

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