ドクタージャーナルVol.17
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12DoctorsJournal症に限ったことではなく、老化によっても起きます。その時に薬とケアでベストマッチングに持っていくことも大切です。それをチームでモニタリングしながら患者さんにとって最適な在宅医療のPDCA(Plan・計画→Do・実行→Check・評価→Action・改善)サイクルをチームで回すことを、それぞれの医師や看護師やケアマネジャーがデザインできれば素晴らしいと思います。NPO法人オレンジアクトで「認知症に備えるアプリ」を無料配信する―髙瀬義昌氏が理事長を務める、認知症の早期対応・備える努力を啓発するボランティア団体、NPO法人オレンジアクトは2015年8月6日に、家族など身近な人に認知症の疑いがないかを簡単に判定できるスマートフォン、タブレット端末用の無料アプリ「認知症に備えるアプリ」をリリースした。―認知症は早期発見が重要です。そのための認知症の簡易スクリーニング調査を開発しようと考えました。認知症は本人自身が検査を受けることを拒むことも多く、発見の遅れも多い。「認知症に備えるアプリ」は本人だけでなく、周りの身近な人も利用できる認知症チェックアプリです。本人が検査を怖がっている場合などはそっと見守り、早期の受診や認知症に備えるために、多くの人に使ってほしいと思っています。「認知症に備えるアプリ」は、大田区の3つの医師会で検診の際に行っていた家族アンケートとHDS-Rスケール(長谷川式簡易知能評価スケール)を元に開発しました。両者を同時測定し、家族アンケートの中からHDS-Rで「要検査」となる可能性に影響する因子を測定しました。東京大学准教授(現)の五十嵐中先生にお願いして、その中でも特に有意となった質問項目の「複数の仕事・作業を並行して行えない」、「お金等の計算ができない」、「季節にあった服が選べない」、「同じものを何度も買ってくる」の4項目で認知症の疑いを判定できるようにしました。年齢・性別にこの4項目を加え、構築した認知症スクリーニングの感度は93.9%、特異度は82.1%と高い値を示しています。それをオレンジアクト事務局長の倉橋絢也氏が誰でも簡単に使えるアプリにしたのが「認知症に備えるアプリ」です。但し、本アプリの結果が医師の診断に変わるものではなく、認知症の有無を断定するものではありません。このアプリは認知症の早期受診だけではなく、行政支援の目的も兼ねています。このアプリを使えば認知症に関する医療・社会・倫理的備えに対する知識を得ることができるしくみになっています。地域包括支援センターの連絡先など認知症の予防や介護に必要な地域の情報を提供する機能もありますし、一部地域の弁護士や司法書士とつながることもできるようにもなっています。また、認知症になった時に備えて近くの後見人無料相談窓口を紹介し任意・成年後見人制度の普及を促進しています。「認認介護」の現状を最初に訴える2008年に私は認知症予防協

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