ドクタージャーナルVol.16
15/40

15DoctorsJournalの状況を見ながら、新たな場所へ新築、移転することを検討しています。もう一つは県立六日町病院に隣接して新築する「南魚沼市民病院」で、平成27年11月1日に新規開院の予定です。この2つの病院は機能を分割し、ゆきぐに大和病院は一般病床数を40床に縮小し、在宅医療と終末期医療を中心とした新しいシステムの病院を目指します。南魚沼市民病院は一般病床数を140床と小振りにして、今までにゆきぐに大和病院が担ってきた地域医療システムの中核病院に位置づけたいと考えています。今までは南魚沼市の旧大和町地域が中心でしたが、今後は旧六日町地域や旧塩沢地域も担うため、今までの在宅医療(往診や訪問看護・訪問リハビリ)を大きく超える患者さんへの対応が必要となります。医療を行う形態を考えると三つあって、入院医療と外来医療と在宅医療があります。病床ベッドとは何も病院に限らない。在宅であれば家のベッドも病床と捉えています。ですから、院内ベッド(40床+140床)に院外ベッド(自宅)を合算すると500床以上規模の病院の役割を担うことになると考えています。認知症で悩む人が少しでも減るような活動に取り組んでいきたい15年前の検診で肺がんの疑いが出て、結果的には大丈夫でしたが、その時に感じた思いが今の私の医師としての使命感になっています。当時、医師として何ができるのかと自問していた私の目の前に、難治の認知症がありました。最近では外来で「先生に会うと元気になる」「先生に会うのが一番の薬だわ」とか言われ感謝されることも多く、「医師こそ最良の薬たれ」の言葉を実感しています。私のほうが世の中への恩返しと思っています。終末期医療にも取り組んでいる中で、より良い死のあり方とは何かを追求し、提案できるようになりたい。それを自分の覚悟にもしたいという思いがあります。若年認知症は私のライフワークす。これからも認知症で悩む人が少しでも減るような活動に取り組んでいきたいと思っています。■若年認知症の最大の問題とは:宮永和夫氏 医学博士宮永 和夫氏[プロフィール] 南魚沼市ゆきぐに大和病院院長、南魚沼医療福祉センター長、南魚沼市病院事業管理者、精神保健指定医、精神保健判定医、日本老年精神医学会専門医、1951年茨城県生まれ。群馬大学医学部卒業。国立群馬大学医学部精神科在籍時より認知症や高次脳機能障害などの器質精神障害の臨床に関わる。現在は、南魚沼市ゆきぐに大和病院及び認知症疾患医療センターで認知症診療に取り組んでいる。現在 NPO法人若年認知症サポートセンター理事長、全国若年認知症家族会・支援者連絡協議会会長。早くから全国の若年認知症家族会の設立に携わり、2001年に若年認知症家族会「朱雀(すざく)の会」と若年認知症家族会「彩星(ほし)の会」、2005年に若年認知症支援の会「愛都(アート)の会」の設立を支援し、現在は6つの若年認知症家族会の顧問を務める。多職種の医療チームが当事者と家族への身体的精神的社会的支援を行うことで、地域の原点である全人的医療の実践を実現したいと考えている。地域及び全国での講演会・研修会の活動や認知症に関する著書多数あり。[経歴]昭和51年 群馬大学医学部卒業 神経科、精神科昭和54年 大和医療福祉センター 特別養護老人ホーム八色園(やいろえん)勤務(非常勤)昭和58年 南魚沼市立ゆきぐに大和病院 外来勤務(非常勤)  学位論文「統合失調症の遺伝」。その後「認知症の遺伝」を研究テーマとする。平成 1年 南魚沼市立ゆきぐに大和病院にて認知症疫学調査を開始する。平成 3年 群馬県内の施設の認知症者調査で若年者の認知症の存在を確認する。平成 7年 厚生省精神保健課への報告、全国の実態調査の検討に至る。平成 8年 厚生労働省厚生科学研究若年痴呆研究班を組織して調査を開始する。 後に主任研究者となる。平成12年 若年認知症調査と共に、高次脳機能障害の調査を行う。※同年4月からの介護保険制度において、高次脳機能障害が介護保険対象疾患にならなかったため。平成13年から高次脳機能障害モデル事業開始。※この時点から若年認知症は置き去りにされていく。 [主な著書]・前頭側頭葉変性症 2015年10月出版予定・認知症医療(2014) 株式会社中山書店・認知症ハンドブック(2013) 株式会社医学書院・ビギナーの安心・実践 ステップ式認知症処方(2013)株式会社新興医学出版・介護スタッフのための安心!急変時対応(2011)株式会社秀和システム・若年認知症の臨床(2007)株式会社新興医学出版・若年認知症 本人・家族が紡ぐ7つの物語(2006) 中央法規出版株式会社・若年認知症とは何か 「隠す」認知症から「共に生きる」認知症へ(2005) 有限会社筒井書房・最適ケアを実現する高次脳機能障害アセスメントブック(2004)日総研出版・若年期の脳機能障害介護マニュアル(2000) 株式会社ワールドプランニング・事例で学ぶ痴呆老人の問題行動へのアプロ-チ(1998)株式会社医薬ジャ-ナル社●若年認知症家族会関係特定非営利活動法人「若年認知症サポートセンター」 理事長全国若年認知症家族会・支援者連絡協議会 会長NPO法人介護者サポートネットワークセンター・アラジン 理事若年認知症家族会・彩星の会(東京、平成13年9月発足)顧問若年認知症支援の会・愛都の会(大阪、平成17年2月発足)顧問若年認知症ぐんま家族会(群馬、平成18年6月発足)顧問若年認知症家族会・北海道ひまわりの会(北海道、平成18年9月発足)顧問若年認知症家族会・空の会(新潟・ゆきぐに大和病院内、平成21年4月発足)顧問●南魚沼市立ゆきぐに大和病院〒949-7302 新潟県南魚沼市浦佐4115番地 TEL:025-777-2111http://www.yukigunihp.jp/開設/昭和51年5月1日 病床数/199床 一般病床161床(ICU5床)、療養病床38床患者数(平成25年度)/外来136,309人(1日平均480人)、入院55,742人(1日平均153人)南魚沼市立ゆきぐに大和病院は、南魚沼市医療福祉センターの中核として機能する施設。同センターは旧南魚沼郡大和町において、全国に先駆けて医療・保健・福祉の一体化を図り、病院・健診センター・特別養護老人ホームの施設を一体的に整備することにより、お互いが連携し、健康維持・医療・福祉の充実により、地域住民が生涯を安心して、この地で生活できることを目指している。[南魚沼医療福祉センター]南魚沼市立ゆきぐに大和病院、魚沼地域特別養護老人ホーム「八色園」、南魚沼市訪問看護ステーションの3施設を総称して「南魚沼医療福祉センター」と呼んでいる。南魚沼医療福祉センターは、保健・医療・福祉の連携による地域医療の推進で「自分たちの健康は自分たちの手でつくろう」「予防と治療と福祉の一体化」をスローガンに住民の健康増進に努めている。南魚沼医療福祉センターは、それぞれの機関が関係する法令、条例、規則などを遵守しながらも、互いに協調し連携を図ることにより市民の健康増進と地域包括医療の推進、障害福祉の基地としての運営を行っている。

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

page 15

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です