ドクタージャーナル15号
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15DoctorsJournalます。つまりレビー小体型認知症は高齢な患者さんであっても、初期の段階では認知機能はしっかりしているのです。この話を講演会で行うと、聴衆の多くの方々がうなずきます。 施設に訪問診療に行っても、レビー小体型認知症の患者さんはスタッフのことをしっかりと観ていることに気づきます。誰が良い介護士で誰が悪い介護士だとか、しっかりと感じています。 また、レビー小体型認知症のケアでは、パーソンセンタードケアに加えて、レビー小体型認知症をよく知ったうえで、レビー小体型認知症にあったケアをしなければいけません。 例えば幻視の場合でも、本人にははっきりと見えている。しかもその不自然さに本人は気付いてもいます。ですから、それを否定するのではなくて、理解することからケアするのがレビー小体型認知症のケアなのです。一人でも多くの人にレビー小体型認知症を知っていただきたい 今までも臨床医一筋ですが、これからも目の前の患者さん一人一人にしっかりと向き合い続けていきたいと思っています。 75歳を超えた今も、週の内4日間は患者さんを診ています。高齢者の患者さんが多いですが、私自身も後期高齢者です(笑)。 土日は主に講演などの啓発活動で全国を飛び回っていますが、多い時には講演が週3回以上入ることもあります。月曜日の1日だけ休みを取っていますが、これも講演の準備とかで忙殺されることも多いです。 とにかく、一人でも多くの人々に知って欲しい。 レビー小体型認知症は特に誤診が多い。正しい知識の下に、しっかりと診察し、早期発見、早期治療ができれば、有効な治療ができる病気なのです。 レビー小体型認知症は日本で発見された病気です。だから日本が診断、治療の最先端になるべきなのです。今、多くの後継の若い医師たちが増えてきています。頼もしい限りです。■レビー小体型認知症の最大の問題とは:小阪 憲司氏 医学博士 (認知症専門医)小阪 憲司氏[プロフィール] 医学博士 横浜市立大学医学部名誉教授 精神科(認知症専門医)所属学会・認定・資格日本神経精神医学会名誉会員、日本認知症学会名誉会員日本老年精神医学会名誉会員、日本神経病理学会名誉会員レビー小体型認知症研究会 発起人 代表世話人レビー小体型認知症サポートネットワーク(DLBSN) 総顧問[経歴]1939年 三重県伊勢市生まれ。1965年 金沢大学医学部 卒業1976年 大脳皮質にも多数のレビー小体が出現する認知症を報告。     その後、アルツハイマー病の発見者であるAlzheimerやレビー小体の発見     者であるLewyがいたことのあるミュンヘン大学精神医学研究所を前身とす     るMax-Planck精神医学研究所の客員研究員。同研究所において、ドイツ     人の症例でも大脳皮質にレビー小体が多数認められる2症例を報告し、こ     れがヨーロッパでの初めてのレビー小体型認知症の報告となる。1980年 レビー小体病という名称を提唱1984年 びまん性レビー小体病を提唱1991年 横浜市立大学医学部精神医学教室教授就任1995年 イギリスで第一回国際ワークショップが開催され、これまでの研究成果がレ     ビー小体型認知症(DLB)として命名される。1995年 横浜市立大学医学部附属浦舟病院長兼務1999年 横浜市立大学医学部附属市民総合医療センター精神医療センター長兼務2003年 横浜市立大学医学部精神医学教室名誉教授、福祉村病院院長および長寿     医学研究所顧問に就任2005年 聖マリアンナ医学研究所所長に就任2007年 第一回レビー小体型認知症研究会を主催。以後、毎年同研究会を主催中2008年 家族会「レビー小体型認知症家族を支える会」を発足      ※2014年に「レビー小体型認知症サポートネットワーク」と名称を変更2013年 平成25年度「朝日賞」受賞(朝日新聞文化財団) [主な著書]『レビー小体型認知症の診断と治療』(2014年harunosora)『レビー小体型認知症がよくわかる本』(2014年講談社)『第二の認知症 増えるレビー小体型認知症の今』(2012年紀伊国屋書店)『「パーキンソン病」「レビー小体型認知症」がわかるQAブック』(2011年メディカ出版)『レビー小体型認知症の臨床 (神経心理学コレクション) 』(2010年医学書院) 『知っていますか? レビー小体型認知症』(2009年メディカ出版)『レビー小体型認知症の介護がわかるガイドブック』(2010年メディカ出版)『認知症の最新治療法』(2012年 洋泉社)『大活字版最新 認知症はここまで治る・防げる』(2006年 主婦と生活社)『認知症の防ぎ方と介護のコツ 毎日が発見ブックス』(2011年角川マーケティング)『プライマリケア医の認知症診療入門セミナー』(2011年新興医学出版社)『トーク認知症―臨床と病理 (神経心理学コレクション)』(2007年医学書院)『ウエルニッケ・コルサコフ脳症』(1984年星和書店)など

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