ドクタージャーナル15号
12/44

12DoctorsJournalさんのそれまでの診断名を見ると、正確な診断ができていない患者さんも多くいます。かかりつけ医の中で、認知症をよくわかっていない医師があまりに多いと感じます。 単に認知症とか老人性認知症などと正確な診断名ではない病名が記入されている方も少なくありません。治療やケアは正しい診断に基づいていないとできません。つまり正しい診断ができていないから、正しい治療も介護もできていないのです。 しかし、患者さんを毎日見ているケアスタッフはおかしいことに気付くのです。 でもそのことが医師には伝わらないことが非常に多い。遠慮して医師の診断に従わざるを得ないからです。この点に関しては、医師の姿勢が問われます。医師が変わらなければならないと思います。 もっと現場の意見にも耳を傾けることで見えてくることや気付くことが多いはずです。家族の話を聞くだけでも随分判るものです。医師が本人や家族、ケアスタッフの意見を十分に聞くようにして、そこから疑いに気付くことができれば、それだけでも現状は変えていけると思います。地域のかかりつけ医の役割  これからは認知症の時代とも言えますから、かかりつけ医が大きな役割を果たさなければならないと痛感しています。しかし現状は、認知症をよく解っていない多くの医師が認知症の患者さんを診断して治療しているのです。 地域のかかりつけ医は日頃から患者さんとの接点を持っているはずですから、認知症の正しい知識を持っていれば、変調に気付く機会も多いと思います。 自分で判断が難しければ専門医に紹介すればよいのです。それだけでも早期発見につながるのです。この連携は、これからは更に重要になってきますし、地域のかかりつけ医が担える大きな役割だと思います。それだけでも、誤診を防ぎ救える患者さんは増えるはずです。 専門医も含めて、地域のかかりつけ医が認知症の理解を深めていなければならない。認知症疾患医療センターの専門医の診断結果でレビー小体型認知症が全体の4.3%にすぎないというデータは、まだまだ理解が不十分だという課題を浮き彫りにしていると思っています。レビー小体型認知症の治療薬としてアリセプトが承認された。これは世界初のことです。 最近では、治療薬としてアリセプトが厚生労働省に承認されたこともあり、レビー小体型認知症もだいぶ知られてきています。今が過渡期かもしれません。 アリセプトのレビー小体型認知症への有用性に関していえば、レビー小体型認知症においては、アルツハイマー型認知症よりも神経伝達物質のアセチルコリン系の障害が強く、神経細胞脱落がアルツハイマー型認知症よりもより多く目立つことが神経病理学的に明らかであり、私はアリセプトがアルツハイマー型認知症以上にレビー小体型認知症に効果があると考えていました。そこで早い時期から治験を行いました。 その効果は1999年にアリセプトがアルツハイマー型認知症の治療薬として認可された翌年の2000年という比較的早い段階で判明していました。 2007年から開始した第二相試験においても、認知機能だけでなくBPSDに対しても良い成績

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です