ドクタージャーナル11号
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26 従来医療モールは、複数の診療科が1か所に集まり調剤薬局なども併設された多複合医療施設のため、ドクターにとっては個人での開業に比べリスクヘッジができ、シナジー効果による集患力やコスト削減などが見込める開業の在り方として人気がありました。また当初は、専門分野への特化が容易となり、認知度が高まりやすいというメリットもありました。 しかし最近では、医師が集うSNSサイトで、医師たちからの医療モールに対する問題点や不満が多く指摘されていると聞いております。 医療モールはこの10年間で大幅に増えました。統計では全国に現在1000件以上の医療モールが乱立しているという状況です。更に、年100件以上のペースで増える見通しです。所謂オーバークリニックモ今、全国でオーバークリニックモール状態が起きている。医療モールで開業すれば患者が集まるという時代ではなくなってきている。ール状態が起きています。 今や単に医療モールで開業すれば患者が集まるという時代ではなくなってきているのです。多くのドクターが医療モールでの開業に対して大変に慎重になっています。現状の医療モールが抱える問題点とは❶集客(集患)メリットが見込めなくなってきた 本来は、お互いに患者を紹介しあう相乗効果が期待できるはずでしたが、最近では医療モールの集客(集患)メリットが少なくなり、お互いが患者を囲い込むようになってきています。❷オーバークリニックモールの現状では立地選定が非常に重要になっている 例えば、花粉症の時期に耳鼻科や眼科にかからず、行きつけの内科で診てもらう患者が多くなっており、医療モール内での複数の診療(クリニック)を受診する患者は非常に少ない。耳鼻科、小児科では患者の奪い合いが起きているケースもあります。また呼吸器内科とは同じ医療モールに入りたくないというドクターも多くいます。一方、簡単な内科診療も行いたいという整形外科のドクターも多くいます。従って、立地の悪い医療モールに3〜4診入ると、お互いの患者の取り合いが起きているという状況もあります。❸医療専門外の開業支援デベロッパーによる 医療経営を熟知してない開業支援業者や不動産デベロッパーが開発する医療モールでは、まず建物ありきのため、不必要な重装備や造作で家賃をはじめとする経済条件(家賃など)が高騰しているという事実もあります。❹人間関係のトラブル クリニックモールによっては出身大学などの派閥色が強く、地方大学出身の医師を軽視したりする傾向があったりします。モール内の全ての院長がお互いにビジネスパートーであるとの意識改革が重要です。❺診療方針が制限される 小分類化された専門科目で開業して診療を行ってきたが、患者獲得のために幅広く診療を行いたいという希望があっても、クリニックモールでは他院の標榜科目との関係上難しい。勿論、専門知識や技能もなく標榜するのは論外です。寺内 靖 氏株式会社マツモトキヨシホールディングス調剤推進部 調剤開発課 主査ドクターが集うSNSサイトで交わされている医療モールの問題点とは

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