ドクタージャーナル11号
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21―まず最初に、開業までの経緯をお聞かせください。榎本 今から6年ほど前に、世田谷で新規のクリニックを立ち上げました。その時は、勤務院長職として新規クリニックの立ち上げから経営の全てを任せられた立場で、患者さんもいない全くゼロからのスタートでしたがクリニックを軌道に乗せました。当時から自身での開業に興味はありましたが、非常に勇気のいることですから、その時点では自らが開業することにはまだ自信がありませんでした。しかも私は、消化器外科の出身ですから内科診療のスキルの不足も感じていました。将来の開業を具体的に考えていたわけでもなかったのですが、新規クリニックの分院長になったのは‘‘それでも自分でやってみたい``という思いが強かったからでした。 その新規クリニックの立ち上げでは、ゼロから患者さんを増やし、経営を軌道に乗せたことで、結果的には開業のための予行演習ができました。内科診療にも自信が付きましたし、分院長に多少の不自由さも感じていたタイミングも合って、それであれば夫婦で協力して開業しようということになったのです。 当時のクリニックでは妻も皮膚科医として勤務していたので、二人でクリニックを開業するイメージも作れました。―初日から大勢の患者さんが来院されたと伺いましたが。榎本 開業初日は50人くらいの患者さんが来院されました。皆さん、開業を待ちかねていたような気がします。その後も来院患者数は1日30〜50人くらいの間で推移しています。一番の理由は近隣に皮膚科がとても少なかったことと、小児科も専門医にかかるには北千住まで行かなければならないという、この場所の立地にあったと思います。再開発地域のこの周辺は、小さいお子さんを連れているお母さんが多く、皆さん少しでも近い小児科にかかりたいという思いがあったようです。―ファミリークリニックの特徴をお聞かせください。榎本 当クリニックの特徴は、小さいお子さんからお年寄りまでがどんな相談でも気軽に来られる、という敷居の低いクリニックということです。 それと、一人の医師が診療しているクリニックとは違い、二人の常勤専門医がいるという点です。胃腸科の専門医である私と、皮膚科の専門医である副院長の妻の二人の専門医体制ですから、いろいろな患者さんの診療にきめ細やかに対応できます。特に専門領域に関しては深く患者さんの専門治療を行えることが特徴です。 それと、ファミリークリニックの名前にも私たちの思いが込められています。多くの診療所では、内科クリニックとか皮膚科クリニックとか、あるいは夫婦だと内科・眼科クリニックとか、クリニックの名前に診療科目が入っていますが、私たちにとってはどの科目を入れても目指すクリニックを表現できているとは思いませんでした。かかりつけ医として地域の皆さんの健康をサポートしていきたい。地域の皆さんが気軽に健康や病気の相談に来られるクリニックでありたい。そんな思いを込めてファミリークリニックにしたのです。ですから、些細なことでも患者さんから頼りにされて相談されることが一番うれしいですね。―マツモトキヨシの寺内さんとの出会いをお聞かせください。榎本 実は、先に妻が皮膚科のクリニック開業を考えて、マツモトキヨシホールディングスの寺内さんに相談していました。時を同じく私も独立開業の思いがあったので、せっかくであれば二人で開業しようということで、このファミリークリニックの開業支援を寺内さんに手伝って頂いた次第えのもとファミリークリニック

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